●甘酒つくりの根本は、私の母が食の細くなった祖母に、「少しでも元気でいてほしい」という思いから、飲む点滴と言われる甘酒つくりが始まった。
当時は世間一般的な作り方と同じで、お粥上に炊いたモチ米に、米麹を入れて甘酒へと加工する作り方だった。
当時は、米麹製造業者から米麹を購入し作っていた。
その業者へ、「月に〇〇〇㎏欲しい」と申し出たところ、「その量は確約できない」という返事が返ってきた為、米麹の製造へ着手するようになった。
原材料は宮崎県産の農薬不使用玄米を。
麹の製造方法は、宮崎県食品開発センター 応用微生物の方からのアドバイスを頂いたが、私の麹造りに最も影響を与えてくださったのは、宮崎県新富町で90歳を超えてもなお精力的に製麹されていた清さん。
清さんは、このように言われる。
「教えはせん、ヒントはやる」
世間話の中にポロっと言われる一言二言のヒントが私の製麹の根本となってます。
甘酒の市場は多様な商品数であふれており、原材料は[ 米・米麹 ][ もち米・米麹 ]と書かれていた。
甘酒の甘味・旨味は麹から生まれている事を料理研究家の方から教えていただいていたのででは、麹だけで甘酒を作ったらどうなるのだろう?という思いから、麹に対する情報収集と、麹のみの甘酒試作が始まった。
麹を調べていると、麹自体が糖化する際に変化する栄養素(アミノ酸・ビタミンB群・ミネラル・ブドウ糖)が豊富である事がわかった。
その栄養素を、そのままお客様へ届けたいという思いから、米麹のみで作った甘酒の販売が始まった。
●お米を配達してくださる農園の方から「私は、白米ごはんから玄米ご飯へ変えたことで、体重が落ちた上に健康になって、元気になった。やはり、玄米の方が栄養が多い」という言葉から、玄米へ注目するようになった。
玄米の事を調べると、玄米の「ぬか」に含まれる栄養素が多様であることが分かった。
昔、玄米が主流だった頃、当時の方々は玄米の「ぬか」にこそ栄養素が多い事を知っており「玄米の ぬか にこそ栄養があるのに、そこをわざわざ削って精米された 白米 は、カス 粕・米へんに白)だ」といいその言葉から、粕・カス という漢字が生まれたとも言われている。
その事を知り、より玄米へ着目し、玄米麹の試作が始まった。
玄米には、ぬかや胚芽等の殻がついており、麹へと加工する際に麹菌が玄米に入り込めず、麹へと製麹(せいきく)するのには厳しい課題があった。
書物やネットでの情報を得ながら試行錯誤していたが、納得できる麹が出来ず、食品開発センターの方にアドバイスをいただきながら、玄米麹を製造する事が可能となった。
米麹のみの甘酒を製造していたので、もちろん玄米麹のみの甘酒へも着手した。
玄米甘酒は販売されているが、原材料を見ると[ 玄米・米麹 ]と書かれているので、玄米麹のみで作られた甘酒は珍しいという事もわかった。
催事での試飲販売や食品開発センターの方々からも、玄米麹甘酒の方が評価が良かった。
飲み続けていると、寝起きが良くなったことは実感していた。
甘酒は苦手という業者の方に試飲してもらったところ、「ここの甘酒は飲める」という言葉をいただいたので、小ボトルを持って帰ってもらい、「寝る前に100g位飲んでみてください」と伝えた。
すると翌日来られて「これは疲れの取れ方がぜんぜん違う。成分を調べて数値として出したら、スポーツにも行けるのでは?」と言葉をいただいたので、食品開発センターへ、白米麹甘酒と玄米麹甘酒のアミノ酸分析を依頼した。
すると、20種類の遊離アミノ酸分析の結果、すべての項目において玄米麹甘酒の方の数値が高いことがわかりストレス回避や精神安定の期待ができる天然の「g-ABA(γ-アミノ酪酸)」や、脳神経伝達を改善させる「フェルラ酸」も多く含まれる事がわかった。
その後、自社製造玄米麹を使った商品開発を行いたいと食品開発センターへお伝えしたところ、共同研究が始まった。